建築関係の方にはおなじみの、そしてこのブログのサブタイトルにもなっている「ご安全に!」という言葉。
これ、初めて聞いた時は「ええええ〜、みんなで言ってる!」って違和感でした。
今はすっかり耳慣れてしまいましたが、そもそもこの言葉はどこからきたのでしょうか?
使われるシチュエーション
この挨拶は以下のような時に使用されます。
- 現場の朝礼、昼礼時、あいさつの最後に。皆が唱和する
- 安全大会時などで、登壇者が「ご安全に!」で締めくくり、皆が唱和する
- 現場へ向かう作業員さんに声掛けする時に使う
- 会社によっては電話に出る時の第1声で使う
「気をつけて働きましょう」や「お疲れさま」「いってらっしゃい」のニュアンスが含まれた便利な言葉ですね。
「ご安全に」の発生と広がり
さて、言葉のルーツを!
- 1600年代〜【発生】ドイツのエールツ山系の炭鉱夫の挨拶として使用される
「Glückauf」(グリュックアウフ)⇒「ご無事で」
坑内での無事を祈る挨拶 - 1953年住友金属工業株式会社(現・日本製鉄㈱)が使用しはじめる
(参照)住友金属工業株式会社『経営報告書2010 2010年3月期』P42
https://www.nipponsteel.com/ir/pdf/sm_jp_ar_2010_all.pdf
ドイツの炭鉱で「Glückauf」を知った製鋼所の副長が、帰国後に社内で挨拶言葉とするよう提言した - その後鉄鋼業界から電力、建築業界へ
危険を伴う作業を行う業界で広く使われるようになる
ドイツの鉱山から発生した言葉だったのですね。
「ご無事で」ではなく「ご安全に」という6文字にした理由ははっきりわかりませんでしたが、耳にした時の感覚として、ご無事で、よりもご安全に、の方がポジティブな気持ちになります。
こんなところにも!
「ご安全に!」はあちこちで見かけます。
現場用品
看板やポスター、ステッカー、テープその他、色々な用品が販売されています。
あの有名な「仕事猫」(*)とのコラボ商品もありますよ。
(このポスターは現場猫ですね)
(*)「仕事猫」とは、くまみねさん(@kumamine)が作成したキャラクターです。
最初に「電話猫」というキャラを作り、それが大ヒットし二次制作として「現場猫」があちこちで作られます。
それを、からあげのるつぼさん(@karaage_rutsubo)がまとめ、それを商品化するためにくまみねさんが「仕事猫」としてまた新たに作ったキャラクターです。
朝の連続テレビ小説「ひよっこ」
NHK朝ドラ「ひよっこ」(2017年4月〜9月放送)の影響で、「ご安全に!」が流行語になりました。
主人公が向島電機の工女として働くのですが、その時の工場長が朝礼で「ご安全に!」と声をかけ、女性達が元気いっぱいに「ご安全に!!」と返事をするシーンが毎朝流れたんですよ。
ちなみに、その第5週のサブタイトルは ❝乙女たち、ご安全に!❞です。
ご安全に!の問題点?
「ご安全に」という言葉、検索すると意外に「嫌い」「いやだ」「おかしい」「ストレス」などというネガティブなワードが出てきます。
そういえば、以前一緒に働いた若者も「絶対言いたくないので、朝礼の時は自分だけ「頑張りましょう」って言ってる」なんて言ってました。
なんとなく文法的におさまりが悪い(「ご」を接頭語にするところ)、押しつけがましさを感じる、きつい部分を作業員にまかせて「ご安全に」なんて言われても・・等々、理由は色々。
言い方もありますが、やはりこれはお互いの信頼性ですね・・
まとめ
「ご安全に!」は、
・危険作業に気をつけてという注意喚起
・危険に遭わないようにという思いやり
・頑張りましょうという励まし
・気をつけようという自分への戒め
という効果があるパワーワードです。
そんな気持ちを込めて、
ご安全に!