派遣社員として

この25年で派遣社員の状況はどう変わってきたか。

派遣社員になってからもうすぐ25年になります。

私が正社員を退職して派遣社員になった理由は3つあります。

  • Windows95が会社に導入され、もっとPCを使った仕事がしたくなった
  • 親の入院
  • 夫がそろそろ転勤になりそうだった

そして、1990年代の派遣社員の時給は今では考えられないほど高く、賞与や交通費は出ませんでしたが毎月の収入は正社員の時とあまり変わらなかったのです。

それから現在に至るまで、派遣社員の状況は随分と変わりました。
そんな移り変わりと今の派遣社員の状況などを書いてみようと思います。

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派遣法の移り変わり

派遣法の歴史
  • 1986年
    労働者派遣法の施行
    専門技能や知識を有する特定16業種の人材派遣が認められる。上限は1年。
  • 1996年
    新たに13業務が追加され26業種が派遣の対象になる
    正社員に代替えのできない業務専門性の高い業務中心。
  • 1999年
    派遣対象業種が拡大し原則として自由化する
    26業種の期限は3年。正社員の代替えを防止するため、新たに労働者派遣が可能になった業務の期限は1年間。
  • 2000年
    紹介予定派遣の解禁
    正社員雇用を促進するため。事前面接が可能になる。
  • 2004年
    製造業の派遣解禁
    専門的26業種は派遣期間が3年から無制限に。
    製造業の期限は1年。
  • 2006年
    医療関係業務の一部が派遣解禁
    医師の確保が困難な離島や過疎地域などの医師不足の解消と、医療従事者の仕事と家庭の両立支援が目的。
  • 2007年
    製造業の派遣期限が3年になる
    2008年のリーマンショックで主に製造業の派遣労働者の派遣切りや雇い止めが増加し社会問題になる
  • 2012年
    正式名称が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変更
    日雇い業務の原則禁止、グループ企業内派遣規制、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止、派遣料金と派遣労働者のマージン率の情報公開が義務化
  • 2015年
    3年ルールが大注目
    すべての労働者派遣事業が一般労働者派遣事業(許可制)に変更する、派遣期間の上限を一律3年とする、派遣元から派遣労働者に教育訓練の実施やキャリア・コンサルティング窓口の整備が義務化、派遣元から派遣労働者の雇用を継続させるための雇用安定措置
  • 2020年
    「同一労働同一賃金」
    2018年に働き方改革関連法が成立。派遣社員と派遣先の正社員との不合理な待遇格差の解消が目的。「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2種類の待遇決定の方式が定められた。

25年前の派遣社員の立ち位置

1997年頃のの派遣社員は、専門26業種のみということもあり、事務でもPCに特化した業務担当、企業や学校でインストラクターとしてPCを指導する、というような求人が主なものでした。

そのため、職場では「専門知識のある人」という見られ方をされていました。
私もその頃はPCオペレーターや単発でPCのインストラクターの仕事を請け負う事が多かったです。
一般の社員とは仕事内容が重なることは全くなく、完全に専門の業務担当という立場です。

2007年に放映された篠原涼子の『ハケンの品格』というドラマみたいな感じですね!

派遣法改正で変わったこと

小泉内閣の時の派遣法改正で、製造業および医療業務の派遣が解禁され、専門26業種は派遣期間無制限で雇用されることになりました。
派遣会社もみるみる増え、各企業も安く長く使える派遣社員をどんどん採用するようになり、それによって派遣社員の専門性も薄れてきました。

私の感覚ですが、その頃から派遣社員の立ち位置が、正社員のできない専門的な業務を担当する人材から正社員の補助業務をする人材もしくは正社員と同じ仕事をしても賃金の安い人材へと変わってきたように思います。

世間でも、派遣社員を正社員よりも低いレベルの労働者として補助業務しかやらせないとか、すぐに辞めさせることができるとか、派遣社員にとっては屈辱的な扱いをされる話をよく耳にするようになりました。

そして、待遇としては、専門性があるなしに関係なく、安い賃金で働かせるという方向になってきました。

加えて、時給もぐんぐん下がり続け、1997年当時と同じ職種でも時給で300円減くらいになってしまいました。
通訳・翻訳のような専門職でも、一般事務とほとんど変わりがないような状況。

2008年のリーマンショック、2015年の3年ルールの影響での派遣切り・雇止めや、無期雇用派遣社員の待遇の中途半端さは大きな社会問題になりました。

2021年 派遣社員の意識・就労実態調査

株式会社マイナビが「2021年 派遣社員の意識・就労実態調査」を発表しました。

それによると、派遣社員(常用、無期雇用、紹介制共)数、今後も派遣社員として働きたい人の数共に前年度よりも増加しています。

理由としては、飲み会の誘いなどを断りやすく、人間関係の悩みが少ないこと、勤務時間の融通が利きやすいこと、社会保障があること、などがあげられています。

まとめ

2020年〜2021年のコロナの大流行によるリモートワーク推進の流れや、また副業がOKになる企業が増えた事によって、仕事に対する従来の考え方に変化が出てきました。

今までは圧倒的に待遇面や安定性の面で正社員が有利でしたが、今後はそれも変わっていくのではないでしょうか。
近い将来いくつもの仕事を掛け持ちしながら働く形態が普通になるかもしれません。
ある意味、派遣社員はずっとそんな形で働いてきているので、この動きには抵抗なく乗る事ができるでしょう。

さて、現実問題として派遣法の改正です。
派遣対象業種の拡大を推し進めてきた派遣法ですが、2008年のリーマンショックを経て、近年では労働者の権利を守るための改正が多く見られるようになりました。
2020年の「同一労働同一賃金」など、正しく施行されたら非常に喜ばしいことです。
とはいえ、まだまだ考えるべき問題点が多くそのまま施行されることはまだまだ先の事でしょう。

ちなみに、私のような無期雇用派遣社員は、正社員側の立ち位置になり、実際は派遣社員と同じ待遇にもかかわらず「同一労働同一賃金」の対象にはならないようです。
ここも見直していただきたい点ですね。

 

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