現場事務の日常

『けんせつ小町』ってご存じですか?

けんせつ小町という言葉を聞いたことがありますか?

これは、2014年に一般社団法人日本建設業連合会によって制定された愛称です。

「けんせつ小町」は建設業で働くすべての女性の愛称です。
建設現場で働く技術者・技能者、土木構造物や建物の設計者、研究所で新技術を開発する研究者、お客様とプロジェクトを進める営業担当者、会社の運営を支える事務職など、活躍の舞台は多岐にわたります。(引用:一般社団法人日本建設業連合会HPより)

制定から7年。
もうすっかり言葉は定着して、色々な活動も行われています。

各企業でも、土木・建設業での女性の活躍をアピールするようになってきました。
奥村組の奥村くみとか。(ベタなネーミングが好きです)

けんせつ小町 | 日本建設業連合会
「けんせつ小町」は建設業で働くすべての女性の愛称です。建設現場で働く技術者・技能者、土木構造物や建物の設計者、会社の運営を支える事務職営業担当者、研究者など、活躍の舞台は多岐にわたります。

男性社会だった土木建築業界。
そこで働いている女性もたくさんいますよ、どんどん活躍していってくださいね、という思いが込められている言葉です。
そんな「けんせつ小町」を詳しく見ていきましょう。

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けんせつ小町活躍推進のコンセプト

仕事を「定着」、「活躍」、「入職」のテーマを柱に、女性のみならず誰もが「働きやすい」「働き続けたい」と思われる建設業界をめざすことが計画のコンセプト。
(引用:一般社団法人日本建設業連合会)

簡単に言うと、男性中心の建設業界から、女性も活躍する建設業界を目指すということですね。

私の派遣先の会社でも、女性用ユニフォームやヘルメットを作成したり、現場の女性トイレを整備したりという環境整備や、女性が活躍していることを広報で発信したり、活躍している現場の見学会等のアピール活動、技能研修、また時短勤務の導入などが行われています。

けんせつ小町たちに対する周りの変化

20年前は、設計以外は少数だった女性技術者でしたが、今はかなりの人数が活躍されています。
私も今まで、現場監督(現場管理者)、設計者、作業員(職人)、積算担当、事務担当者など多数の方と一緒に仕事をしました。
(ここでいう事務担当者とは、現場事務員ではなく会社の管理部門の現場事務担当者のことを指します)

事務担当者の業務

  1. 現場事務所の書類関係(発注者との契約書、諸官庁への提出書類、保険関係等)
  2. 近隣への工事説明会、挨拶等。
  3. 現場事務所物件の選択、決定、契約。
  4. 事務所内の電話・WIFIの設置、PCの設定、机、ロッカーなどの備品手配。
  5. 式典の準備、開催。(地鎮祭、起工式、上棟式、竣工式など)
  6. 予算管理(工事にかかる各種費用を事前に決定し、毎月支出管理をしたり、決算時に集計したりする)

会社や状況によって違ってきますのであくまでも私目線の感覚ですが、20年前とは女性技術者に対する周りの視線も変わってきたように感じます。

以前は、女性現場監督の場合はサブとしてベテラン男性社員をつけたり、職人さんが嫌がったり、男性社員たちの「女性は細かい、色々甘い、心配」というような感想があったりしました。

今は、プロの技術者として認めて向き合っていますし、職人さんも「女か・・」みたいな雰囲気ではなく「現場監督」として対応しています。
男性職員からの「女だから・・・」のような愚痴もあまり聞かなくなりました。

とはいえ、実際はまだまだ厳しい事も多そうです。
出産後に復帰して時短で働いている方と同じ現場にいたことがありますが、退社時間になるとブツブツ言われたり、休日出勤させられたりして大変そうでした。
また、出産後に現場から内勤に移動させられた職員もいましたし、事務担当の女性職員は担当する複数現場の飲み会に常に半強制的に参加させられて、それだけが理由ではありませんが、とうとう退職してしまったという事もありました。

けんせつ小町という言葉の問題点

実は「けんせつ小町」という言葉はたびたび炎上しています。
「けんせつ小町 炎上」で検索すると、色々な事案が出てきますが、その中で驚いたのは、建設現場の仮囲いに覗き穴がいくつか設置してあり、「けんせつ小町を探してみよう」という言葉が添えられている写真。

(引用:「施工の神様」)

気持ちはなんとなくわかります💦
でも、これでは女性技術者か珍しいもの、通常ではないという認識を上塗りしてしまうのではないかと。
そもそも、女性技術者の推進というのは「女性でもできる、女性やっている」というスタンスではないんですよね。

それから「小町」という言葉。
そもそも「小町」というのは、「評判の美しい娘」という意味です。
そのせいか、なんとなく「けんせつ小町」って聞くと、きれいな若い女性のイメージが出てくるらしく、現場の花、現場男性も喜ぶ・・というようなニュアンスで語られてしまうことも。

まとめ

とはいえ、「けんせつ小町」という言葉ができたおかげで、土木建設業界で働く女性が注目されたのは事実ですし、実際、具体的な活動も行われています。
もっとこの言葉が世間に広まって、これから建設業界で働きたいという方が増えたり、今働いている方の業務環境がよりよくなったりしていけばいいなあと思います。

さてさて、その「けんせつ小町」に現場事務員は含まれるのでしょうか・・?

もちろん含まれるでしょう!

ただし、「けんせつ小町」という言葉に該当するターゲットからはちょっと外れてるかな・・という気がします。
自己卑下ではなく、役割の違いといいますか。

そもそも現場事務員は昔からほぼ女性の担当業務で「現場事務員」内ではアウェイの立場ではありません。
どちらかというと「現場事務王子」みたいな言葉があったら「けんせつ小町」に対応できるんじゃないか?のような・・

と、話がそれました。

ともあれ、男性が圧倒的多数の業界の中で女性が働くのは大変な面もたくさんありますが、徐々に状況は良くなってきています。
改善点や工夫していきたい点などの提案はどんどん出していきましょう。
また男性社員VS女性社員のような対立構造ではなく、お互いをフォローし合えるような環境にしていけるといいですね。


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