現場事務入門編です。
私が現場事務仕事を始めた時、次々と出てくる契約関係書類や請求書など、ただひたすら目の前にある書類を処理するのに必死でした。
それらがどのような順で発生しているのか、どのように流れていくのか、ということを理解していなかったので、問い合わせが来てもうまく答えられず・・
1年くらいかかってようやく全体の流れを理解することができ、その後は自信をもって処理していくことができるようになったのです。
今回は、最初から知っておくと仕事がしやすくなる受発注業務の流れを紹介します。
工事の受発注業務のフロー
受発注の流れを簡単なフロー図にしてみました。
これに伴い、各種書類作成業務が発生します。
受発注業務の内容
見積依頼
発注者が受注者に対して、工事の具体的な内容を提示した「見積依頼書」という書面で見積りを依頼します。その際に、建築業法に定められている項目を提示する必要があります。(建設業法第20条第4項)
「工事内容」については、以下の項目を明示する必要があります。(引用:発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン)
① 工事名称
② 施工場所
③ 設計図書(数量等を含む)
④ 下請工事の責任施工範囲
⑤ 下請工事の工程及び下請工事を含む工事の全体工程
⑥ 見積条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
⑦ 施工環境、施工制約に関する事項
⑧ 材料費、労働災害防止対策、産業廃棄物処理等に係る元請下請間の費用負担区
分に関する事項
見積書
受注者から発注者に提出します。
前記の項目を表示し、また、その際、建築業法第20条に基づき、見積もりに十分な期間を設けることが義務づけられています。
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
その準備に必要な日数は以下のようになります。
① | 工事予定額が500万円未満 | 1日以上 |
② | 工事予定額が500万円以上5,000万円未満 | 10日以上 |
③ | 工事予定額が5,000万円以上 | 15日以上 |
注文書
発注者から受注者に対して工事を発注するという意思を示す文書です。
書類には「工事内容」「請負金額」「工期」「支払方法」等の必要事項を提示します。
注文請書
注文請書(請書)は工事受注者がが工事を引き受けるという意思をあらわす文書です。
注文請書が発注者が受領すると、正式な契約が成立したとみなされ契約書と同等の性質を持ちます。
現場事務員が行う業務
以上の書類は、ほぼ担当職員が作成します。
そこで、現場事務員は提出前、もしくは受け取った書類のチェック、ファイルなどを行います。
チェック作業
✔発行日
見積有効期間内になっているか。
契約日以降になっていないか。
✔工期
すべての書類の工期が同じであること。
年をまたぐ工期の場合、西暦が去年のままになっていないか。
✔書式
最新の書式を使用しているか。
✔押印
押印漏れがないか。
✔法定福利費、値引き率
料率に問題はないか。
*法定福利費の算出(ざっくりとした目安)
工事の労務費の総額 × 15%
ファイリング
会社によって現場に控えを保管する書類の種類は違ってきますが、1つの契約ごとにまとめてファイルすると、あとで見返したときにわかりやすいです。
前に、見積書ファイル、請書ファイル、のように文書の種類ごとにファイルしていた事がありますが、「〇〇会社との契約書類一式出して」と言われた時に、探すのが手間でした。
請求書
一連の流れの中で、事務員が一番携わることになる業務です。
毎月、提出される請求書を取りまとめて、本社担当部署へ提出します。
必要事項の記入、システム入力、集計、控えのファイリング等が主な業務。
締切日が決まっているので、事前に各業者へのアナウンスや、締切日に間に合わない際の対処等も必要になってきます。
まとめ
以上、ざっとした流れを説明しました。
最初に、こうなっているのか、と頭に入れておくと「自分が今何のための書類を作成しているのか、チェックしているのか」ということが理解でき、仕事がしやすくなります。
工事の規模によって、ファイリングの仕方もそれぞれ変わってくると思いますので、そこら辺は工夫してやりやすいようにしていくと良いでしょう。
最近では、紙の書類から電子契約への移行が始まっています。
そうなると、チェックやファイリングの形が変わってくる可能性もありますね。
どちらにせよ、工事の受発注の流れを知ることは大切です。
最初にしっかり理解しておきましょう!